堤 剛&チェロ・アンサンブル 公演プログラム解説

今回の公演で演奏される曲目がそれぞれどのようなものなのか、

事前にこちらをお読みいただければさらにチェロ・アンサンブルを楽しむことができます!

是非ご一読ください!!

 

■今回の公演プログラム
・バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009(長谷川 陽子)
・ビゼー:「カルメン」より 前奏曲、闘牛士の歌、アラゴネーズ、 ハバネラ、 ジプシーの踊り
・ドヴォルザーク:チェロ協奏曲より 第1楽章
・大河ドラマ「龍馬伝」「篤姫」テーマ
・映画音楽メドレー「風と共に去りぬ」「ゴッドファーザー」「ライムライト」
・ミュージカルメドレー「マイ・フェア・レディ」「メリー・ポピン ズ」「サウンド・オブ・ミュージック」
・ポッパー:ハンガリー狂詩曲

 

 「チェロのバイブル」とも呼ばれるJ.S.バッハ (1685-1750)の<無伴奏チェロ組曲>全6曲中、

<第3番>はもっとも愛好されている一曲。ハ長調というチェ ロにとっては都合の良い調性を生かして、

4本の弦を響かせる和声書法などで豊 かな響きを生み出していく。

「前奏曲」、「アルマンド」、「アルマンド・グラーヴ(遅いアルマンド)」、「クーラント」、

「サラバンド」、「ブレー I, II」、「ジーグ」。

 

G.ビゼー(1838-1875)の代表傑作としてあまりにも 名高いオペラ「カルメ ン」。

舞台となるスペインの民族色豊かな歌や音楽、そして迫真のリアリズムによる劇的効果など、

多彩な魅力 に満ちているが、この作品ほど様々な編曲で親 しまれているものも珍しい。

今回はチェロ・アンサンブルによるカルメン名曲集。

オペ ラの三つの主要なテーマを織りまぜた華やかな<前奏曲>に始まり、

人気闘牛士エスカミーリョの堂々たる魅力が表れた<闘牛士の歌>、

有名な <アラゴネーズ>、カルメンが衛兵伍長のドン・ホセを誘惑して歌う有名な<ハバネラ>、

そしてやはりカルメンが踊る <ジプシーの踊り>で音楽は最高潮に達する。

 

 A.ドヴォルザーク(1841-1904)の<チェロ協奏曲> はハイドン、ボッケリーニなどの名作とならぶ

チェロ協奏曲の最高峰として名高い。<新世界>交響曲や弦楽四重奏曲<アメリカ>と同じく

ドヴォルザークの「アメリカ時代」に書かれた傑作の一つである。

今回はこの名作の第1楽章がチェロ・アンサンブル版で 演奏 される。

オーケストラのパートを3人のチェリストが担当。独奏チェロ以上 に至難な技巧が要求されるかも知れない。

 

 続いてNHKの大河ドラマ「龍馬伝」「篤姫」のテーマにはじま り、映画や
ミュージカルの名曲がメドレーで演奏される。

 

 <ハンガリー狂詩曲>はプラハ生まれのチェリスト、D.ポッ パー(1843-1913)の代表作。

ハンガリー音楽といえば、緩やかな部分と激しい部分で構成される「チャールダーシュ」の形式をはじめ、

ジプシー・ヴァイオリン の速弾きの妙技や民族楽器ツィンバロンのトレモロなど、独特のスタイルで知られるが、

名高いリストの<ハンガリー狂詩曲>と同様に、このポッパーの作品にもそうした特徴が生かされている。

 

曲目解説: 柿沼 唯(作曲家)